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2015年08月11日

143号 役立つ国際ロジスティクスマガジン発行

◇◆国際ロジスティクスマガジン◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<vol.143>2015/08/11━━
編集・発行 株式会社 共和商会  志賀 盛孝
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目次
1. 海上保険について
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1. 海上保険について

日常生活の中でも、さまざまな保険がございます。
生命保険、自動車保険、火災保険、などなどです。
貿易を行う際にも、輸送中の事故に対応する海上保険がございます。

海上保険は、貿易条件とも密接に結びついてきます。
FOB , C&F であれば輸入者が、CIFであれば輸出者が掛けることなります。

よく、『運送中の事故については運送会社さんが補償してくれるはず。』と
お考えの方もおられるます。
ところが、私が言うのもおかしいですが、
誠に残念ながら、運送会社さんの補償は期待薄です。

国際輸送の考え方はそもそも、大航海時代の考え方から起因していると
考えます。
『国王が船を用意してくれたので、一攫千金を夢見て乗りたい人は、
乗っていいけど、乗った人達で何があっても連帯責任でね。』
つまり、『船が無事に着かなくても、乗った人の責任。』
『嵐で沈没しかけても、みんなの責任で助け合ってなんとかしてね。』
って、感じです。
もちろん、現在の船は、当時とは違いますので、安全性は段違いです。
それでも、考え方は、あまり変わっていないようです。

例えば、『共同海損』というものがあります。
これは、船が航行中に火災などの海難事故に会い、船も積載貨物も危険に
さらされた場合、船長判断において、船を救う為に、貨物を海に捨てたり、
救助を呼ぶことがあります。
こんな場合の費用や損害を、船会社と積載貨物の所有者との共同で負担する
という制度です。

大航海時代の考え方っていうのが、お分かり頂けるかと思います。

海上保険は、運送中の商品に対しても損害だけでなく、上記の『共同海損』も
補償してくれるものなのです。

商品に対してはこんな場合に、補償してくれます。
良くあるのが、運送中における商品の
水濡れ・破損・盗難
です。
但し、気をつけないといけないのが、
梱包や積み付けの不備の場合は、保険がおりない場合があります。
また、運送の遅延は補償されませんし、
事故が起こった為発生した遅延金や廃棄費用などの間接費用も
補償されません。
また、商品によっては保険取扱いできないものもあります。

それでは、必ず、海上保険は掛けなくては、いけないのでしょうか?
海上保険も保険ですので、必ず掛けなくてはいけないものでは、ありません。
商品の損害や共同海損の場合の費用負担のリスクを理解の上で、
掛けていらっしゃらない場合もあります。
商品の価格や形状によって、リスクが異なると思っています。
例えば、落としも壊れない物もありますし、
保険料と過去の自社の損害頻度と商品価格と勘案して、
リスクを取られる方もおられます。
合わせて、免責事項をよくよく理解しておく必要があります。

商品の特性、価格、保険料率、これまでの事故頻度など
リスクと自社の現状を理解した上で判断することが肝要かと思います。