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2014年09月18日

141号 役立つ国際ロジスティクスマガジン発行

◇◆国際ロジスティクスマガジン◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<vol.141>2014/09/18━━
編集・発行 株式会社 共和商会  志賀 盛孝
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目次
1.  FOB , C&F(CFR) , CIF
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1. FOB , C&F(CFR) , CIF

貿易条件の選択には『コツ』があります。

ご存じのとおり、 FOB , C&F(CFR) , CIF というのは、
貿易決済における取引条件の内容です。
数ある取引条件の中でも、特に日常的に使用されているのがこの3つの取引条件
であります。

まずは、この3つの条件について整理して行きます。

決して難しいものではなく、単純に足し算して、売主、買主で費用負担と
作業負担を決めるだけのお話しです。

日本国内の取引においても、商品価格を決める際には、さまざまな条件を
加味されると思います。
仕入れ値に、加工賃、利益、梱包費、諸経費、配送費用などなどを加えるのと
同様に、海外取引でも、さまざなな費用項目を考慮します。
一番ベースとなる価格が、出荷時点の価格です。
工場で出荷した時点で販売した場合の費用や倉庫出荷時点で販売した場合の
費用です。

いわゆる、EX-WORKS, EX-WAREHOUSE とういう取引条件です。

これから、足し算をしていきます。

1.FOB

工場・倉庫出荷価格に、船に積み込むまでにかかる費用を足したものが
FOB(Free On Board)です。
つまり、工場や倉庫を出発して、港や空港までの運送費用、輸出通関手続きや
船や飛行機に積むための書類の作成費用や作業費用を加えると、FOB価格に
なります。
この場合は、輸出通関は売主の責任において行うこととなり、税関検査が
あった場合の費用なども
売主において負担する必要があります。

2.C&F(CFR)
COST & FREIGHT の略で、FOB価格に売り先の指定港到着までの運賃を
加えた価格です。

3.CIF
COST , INSURANCE & FREIGHTの略で、FOB価格に海上保険料と到着までの
運賃を加えたもので、
C&F に海上保険代を加えた価格です。


売買代金に含まれていない費用及び作業は、買い手が負担するという訳です。

ここまでは、貿易の本やネットで調べれば、難しいことでは、ありません。

どの条件を選べば良いかというのがポイントです。

ここでは、どの条件の価格が安いか高いかを重要視しません。
危険負担の有利不利も気にしないでおきます。

どの条件が、自社にとって、本当に便利でメリットの大きい条件であるかが
重要だからです。

1.従業員には本業に注力してもらい、輸出入業務に時間を取られたくない場合
 
こんな場合には、輸出の場合はFOB、輸入の場合はCIFがいいでしょう。
輸出の場合は、買い手が指定した船会社への船積みになり、
輸入の場合は、積載船会社も海上保険も売手にお任せすることとなります。

相手先にお任せすることに、業務負担を減らすことになります。

2.費用内容を自分で把握したい場合

輸入される場合には、特に費用内容が気になると思います。
この場合にはFOBがいいでしょう。
海上運賃や海上保険料など日本側でお手配することにより、
船積み以降の費用が明確になります。
その分、船会社さんとの折衝や売主に対しても船会社の情報提供など、
ひと手間かかります。

3.出荷予定や到着予定を自身で管理して、在庫管理やリードタイムを
明確にしたい場合

輸出の場合は、C&FかCIF、
輸入の場合は、FOBがいいです。

輸入の場合、数ある船の中から、出荷できる日と到着して欲しい日の調整を
この船の選定により行うチャンスが持てます。
相手にお任せしていると、早く欲しくても、安くて遅い船に載ってることも
起こりえます。

輸出の場合は、先方の要望もありますが、こちらの出荷状況や保管状況にも
かかわります。
相手の指定船会社さんですと、融通が効きにくいですが、
自社で手配することにより、
選択肢を増やすことができます。数ある船会社の中から、
自社の都合と相手の到着希望に
合わせてチョイスするとよいでしょう。

貿易条件の選択は、費用の面からだけでなく、それぞれ一長一短ある中から、
自社に合った
一長を選択することが肝要です。

ただ、数あるインコタームズの貿易条件の選択において、
僕的に基本原則があります。
それは、『輸出責任は輸出者が! 輸入責任は輸入者が!』です。

なぜかっていうお話しは、次号にて。