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輸入に関することの記事

2012年03月02日

日本製の部品を外国で組み立てた商品の原産地について

 今週は通関の川本が外国で組み立てた商品の原産地認定に
ついて書かせていただきます。貿易では、ある商品の部品だけを

外国に輸出して現地で組み立てたり、日本から輸出した部品や
材料に加工をして完成品にしてから本邦に輸入してくるケースがあるか
と思います。
例えば、部品が全て中国で調達され、中国のみで製造された場合は、
中国が原産国(完全生産品)となります。では、部品は日本製で、
組み立てだけを中国で行った場合、商品の原産国はどこになるのでしょうか?
 
まず、生産国以外の原材料や部品を使用して「加工・製造」を行った商品は
「実質加工品」と呼ばれ、製造を行った国を原産国と認める規定があります。

実質加工品として認められる原則は、原材料や部品のHSコードと、加工後
に完成された商品のHSコードの頭4桁(全10桁)の番号に変更があれば、
実質加工品となり、加工・製造を行った国が原産国となります。

これは例えば、原材料のHSコードが5101(羊毛)で、加工を行い、
完成品が毛糸で5106(毛糸)に変更したとすれば、頭4桁のHSコード
に変更がありますので、実質的な加工と認められ、原材料の羊毛が日本製でも
加工を行った国が原産地として認められることになります。

しかし、上記の原則のように加工後にHSコードに変更があっても、
実質加工品と認められない場合や、逆にコードに変更がなくても実質加工品
と認められる場合(付加価値基準、加工工程基準)もあります。
(注:実質加工品と認められるには、商品ごとに規定や条件、例外があります)
 
前者の例ですと、たとえ材料や部品から完成品へHSコードの変更を伴う
加工・製造であっても、単なる切断や、選別、箱などへの容器詰め、非原産品
の単なる混合、単なる部分品の組み立て及びセットにすること等々は実質的変更
を伴う加工・製造とはならないことになっておりますので、注意が必要となります。
(関税暫定措置法施行規則、第9条参照)
http://www.lawdata.org/law/htmldata/S44/S44F03401000039.html

つまり、部品が日本製で、外国での作業が文字通り単なる部品の組み立てだけ
であれば、その商品は日本製になります。しかし、単なる組み立てだけではなく、
商品の性能に影響を及ぼしたり、新しい特性を与えるような「実質加工品」になる場合、
部品が日本製であっても、原産国は外国製(生産国)になる事もありえるのです。
 
したがって、日本製部品を中国で組み立てただけの商品を「中国製」と表記
したり、上記のような「加工」を行って製造された商品を「日本製」と表記
するのは、誤った原産国表記とみなされる恐れがありますので、他国で製造
される場合等は、部品や原材料、加工・工程なども重要になってくるのです。

 

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