いつも弊社のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
共和商会の古迫です。
リチウムイオン電池はスマートフォンやパソコンの電池、モバイルバッテリーなどとして、身近な存在となっており、弊社でも度々輸出のお問い合わせをいただくことがございます。
ただ、以前のブログでも触れさせていただきましたが、リチウムイオン電池は危険品あるいは準危険品のような扱いとなり、輸送には様々な制約がございます。
こと中国向けに関しましては、2015年の天津港化学品倉庫爆発事故や近年相次いだリチウムイオン電池の発火事故などを受け、海上輸送の難易度が非常に高くなっております。
今回は、中国向けリチウムイオン電池の海上輸送の現状についてまとめさせていただきます。
リチウムイオン電池の輸出には、基本的に下記の梱包や書類等が必須となります。
・危険品輸送に適していると認められるUNカートンなどの危険物収容容器
・容器に貼り付けるClass 9のラベルのうち、電池専用のもの
・中国語GHSラベル
・英語および中国語の製品安全データシート(SDS)
まず、輸出に際しましては、SDSとUN容器による梱包が必須となります。さらに2018年以降、リチウムイオン電池には、専用のClass 9ラベルが必要となっています。
中国語のGHSラベルは、事故や問題が発生した場合に備え、現地の緊急連絡先などの情報を記載するもので、中国語のSDSとともに必須化されています。 GHSラベルは、中国側で認められる内容でなければならないため、事前に現地輸入者様に確認してもらう必要があります。
これらの梱包および書類を揃えた上で、ブッキングする船社に積載の承認を受けることが必須となります。
また、危険品扱いとなる都合上、積載可能な本船が限られてくるほか、容量が大きい場合などは、船社によっては承認が下りない場合もございます。
輸出可能な港も上海港など一部に限られており、天津港など現時点で危険品の受け入れを行っていない港もございます。
このように、中国向けリチウムイオン電池の輸出につきましては、通常の危険品手配に加え、専用の書類が必要となり、また受け入れ可能な港が限定されているのが現状です。
輸出をお考えの際は、現地輸入者様やブッキング先の船社と念入りに打ち合わせしておかれることをお勧めいたします。
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新年あけましておめでとうございます。
共和商会の古迫です。
本年も共和商会と弊社スタッフブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、2017年3月に書かせていただきました、リチウムイオン電池の輸出についての関連記事といたしまして、危険品の梱包について、海上輸送時を中心に書かせていただきます。
1.危険物収容容器の種類
まず、危険品を収容するための容器についてですが、輸出するにあたっては、危険品を収容するのに十分な能力を有した頑丈な容器を使わなければなりません。
海上輸送の場合、小型容器、高圧容器、大型容器、IBC容器(液体を収容するタンク状の容器)、ポータブルタンク、フレキシブルバルクコンテナ(袋状のフレコンバッグなど)といったものが存在します。
国際輸送上の危険物容器としての条件を満たしている容器は、UN容器とも呼ばれております。
危険品の種類ごとに、使用可能な容器や特別規定が定められており、船積みの際はこれらの条件を満たしておく必要があります。
特に化学薬品などは、後述の危険性分類や種類によってかなり細かく規定が存在しています。
そういった輸出品の場合、事前に専門の業者などに相談しておかれるのが良いでしょう。
2.容器の表示について
次に容器への表示についてですが、危険品を輸出する場合、危険品であることとその種類を示すため、適切な表示が必要となります。
その際必要となる表示は下記の3種類です。
1 該当する危険品の危険性分類・項目(Class)を示す標札(ラベル)および副標札(副標札は必要な場合)
2 該当する危険品の正式品名(Proper Shipping Name)および国連番号(UN Number)
3 危険物の輸送に適切な容器であることを示す「UNマーク」
全ての危険品には、危険性分類・項目を表すClassおよび具体的な品目の種類を表す国連番号(UN Number)が割り振られており、正式品名とともにこれらを表示しておく必要があります。
Classについては、Class1?9に大別され、さらにClass1?6には、性質による区分が存在します。Classごとに取り扱い可能な船社や業者、積載可能な船などが異なってくるので注意が必要です。
国連番号は、輸送上何らかの有害性を持つ化学製品の品目ごとに割り振られています。こちらも、Classと合わせて輸送可能な条件が異なる場合があるので、注意が必要です。
また、輸送条件によっては、特定の性質に該当する場合など国連番号を有しながらも、普通品として
輸送可能な場合もあります。
UNマークは、上述の通り、容器が危険品の輸送に適切なUN容器であることの表示であり、容器の種類や容器等級、製造年、製造元、承認機関、承認国などの情報が記号で記載されています。UN容器には、基本的にこのUNマークが印字されています。
また、ここでいう正式品名とは、商品名ではなく、IMDG Code(国際海上危険物規程)や危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)などに書かれているものを指しています。例えば、リチウムイオン電池の場合、具体的な商品名ではなく、「LITHIUM ION BATTERY」といった表記が正式品名となります。この点は注意が必要です。
3.外装梱包(オーバーパック)について
最後に、外装梱包について触れさせていただきます。
輸出品が一定の量を超えてくると、パレット梱包などでひとまとめにする場合が多くありますが、危険品の場合は注意が必要です。
まず、通常のパレット梱包のように、ラップを巻きつけて固定している場合など、中身が見えている場合は、基本的に梱包されているUN容器の表示のみで船積み可能です。
ただし、港のCFS倉庫によっては、外装にも表示を求めている場合がございますので、倉庫へ搬入する前に船社か搬入先の倉庫への確認が必要です。
また、外装がカートンなどの中身が見えないものである場合は、標札および副標札、正式品名および国連番号といった情報を一通り表示する必要があります。
また、外装がUN容器ではない場合は、別途高さ12mm以上の大きさで、「OVER PACK」の表示が必要となります。この場合でも内装の容器がUN容器であることは必須です。
このように危険品を輸出する際は、梱包する容器の段階から、専用のものを用意する必要があります。輸出をお考えの品物が、危険品に該当する可能性のある場合は、まず、危険品に該当するかどうか、該当する場合は具体的な種類を事前に確認し、その上で容器や標札などを揃える必要があります。危険品の詳細につきましては、多くの場合、メーカー様が発行しているSDS(製品安全データシート)で確認できます。
また、中古品やリコール品などの場合、そもそも船積みなどの輸送がほぼ不可能な場合もございます。
危険品の輸出をお考えのお客様は、事前にその詳細について確認およびご相談されておくことをお勧めいたします。
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みなさま初めまして、新入社員の古迫と申します。
私も昨年6月に共和商会に入社し、現在は主に船積書類の作成や、
船の予約など輸出に関する業務を担当させていただいております。
まだまだ学ぶことばかりではございますが、少しでも皆様のお役に立てるよう、
日々精進して参りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて、先程も触れましたとおり、私は普段輸出に関する業務を担当させていただいております。
その中で、何度か危険品の輸出を目にすることがございました。危険品の輸出手続きは、
普通品の場合とは異なって参ります。
今回は、船便における危険品の輸出について書かせていただきたいと思います。
まず、危険品とはそれ自体に爆発性や毒性を有するものなど、万が一事故が発生した場合に、
人体や環境に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質などを含んだ物品を指しています。
危険品には非常に多くの種類があり、ダイナマイトや毒物のように誰の目にも明らかなものから、電動自転車のバッテリーのように身近なものまで様々です。
これら危険品は国連により、9段階のクラスで分類がなされています。さらに全ての危険品に対し、国連番号が与えられ、保管法や輸送法などが定められています。
また、危険品には安全データシート(SDS)の発行が義務づけられており、そこにクラスと国連番号が書かれていることも多くあります。
危険品を輸出するに際しては、まず危険品の明細とクラス、国連番号を事前に船会社に連絡する必要があります。このとき、明細に加え、一般的には英文の安全データシートの提出を求められます。
(輸出先が中国の場合、中国語の安全データシートを求められるなど、特別な対応が必要となることもあります。)
船会社によって受けられる危険品の種類が異なっていたり、組み合わせの問題で受けられない場合もございますので、注意が必要です。
また、船での輸出の場合、最終的にはコンテナ詰めして船に乗せることになります。そのため、危険品入りのコンテナを搬入する先のコンテナヤードと港湾労災防止協会にもその旨を連絡しておかなければなりません。
危険品入りのコンテナには、それが明確に分かるよう、対応するクラスのラベルを前後左右計4カ所に貼っておく必要があります。
普通品を輸出する場合は、書類提出やコンテナ搬入の締切りが本船出航日のおおよそ3日前となりますが、危険品の場合は、上述のような手順を本船出航日のおおよそ5日前までには済ませておかなければなりません。
さらに、危険品の種類によっては、消防法などの規定により、保管できる倉庫が限られてくる点にも注意が必要です。
このように、危険品を輸出するにあたっては、必要となる書類や手順が通常の輸出に比べて大幅に増えております。
また、昨年の中国天津の危険品倉庫爆発事故の影響により、中国向けの場合、現地の輸入通関に時間がかかることもあるようです。
危険品の輸出をお考えの方は、スケジュールなどにある程度の余裕を持たせておくことをお勧めいたします。
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今回の担当は西田です。
前回(前回の私のブログはココをクリックして下さい)、
輸出の際、兵器やその関連汎用品について輸出貿易管理令の対象となり、
その可能性のある貨物は項目別対比表などを用いて、
メーカーさんなどに該非の判断をしてもらう必要があることをお伝え致しました。
その際、非該当であれば、「非該当証明」を発行してもらい、
通関手続きへと移ります。(該当であれば経済産業省の許可が必要です)
その「非該当証明」の内容は↓の通りです。
さて、これで輸出貿易管理令に関しては大丈夫だ!
っと思われたかもしれませんが、
実はまだ気に留めておかなければならない事があります。
それは「非該当証明」にある最後の一文
「輸出貿易管理令別表第1の16項には該当しております」という所にあります。
「輸出貿易管理令別表第1の16項」というのは「キャッチオール規制」※というものです。
「キャッチオール規制」とは、2001年の米国でのテロを受けて、
輸出令が一部改訂されて導入された2002年4月1日から発動となっている有事規制であり、
テロ防止を目的とするものです。
そのため「輸出貿易管理令別表第1の1から15項」の規制が
「兵器に使用されるか否か?」が問われる物であったのに対し
「キャッチオール規制」は「兵器製造に関わる可能性はないか?」が問われるもので
規制の対象範囲に違いがあります。
例えば、衣料品などを輸出する場合、それが兵器製造に関わるなんて、思われないかもしれません。
しかし「キャッチオール規制」は食料品や木材等の一部を除いたほとんど全てのものを対象としており、
もちろん、衣料品もその対象となるのです。
では対象となる場合、どうしたらいいのでしょうか?
この規制の要点は
「輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、なにであろうと、
実際に大量破壊兵器(核兵器等)、 通常兵器の開発等に用いられるおそれがある」という事です。
(「輸出貿易管理令別表第1の1から15項」の規制は貨物そのものが、軍事転用の可能性が特に高い機微な貨物である場合の規制です)
そこで、輸出者自身が責任をもって貨物の用途・需要者を確認し、
最終的に貨物を「誰が・どこで・どのように」使用するのかを把握しなければなりません。
万一、そのおそれがあると分かった場合には経済産業大臣の許可を得る必要があります。
特に実際の通関に則して申し上げると
仕向け地がホワイト国※以外で
特に「通常兵器補完的輸出規制の対象32品目」
に示された貨物について、前回にお伝えした「輸出貿易管理令別表第1の1から15項」の規制に加え、
「キャッチオール規制」についても、しっかりと該非の判定が行われているか確認を受けることがあります。
「通常兵器補完的輸出規制の対象32品目」はその他の規制対象貨物よりも、危険性が高いという事でしょう。
そのような場合、具体的にどのように該非を判定すればよいかと申しますと、以下の手順を参考にして下さい。
1.輸出する貨物がキャッチオール規制対象品かどうかを確認
(経済産業省ホームページ 安保管理 16項貨物・キャッチオール規制対象品目表)
2.審査表を用いて、客観的に用途・需要者などを確認
(より詳しくは経済産業省・安全保障貿易管理:http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.htmlなどでご確認下さい。)
また税関より該非判定の結果の審査表を提出を求められることもあります。
さて、前回に引き続き、輸出貿易管理令について、お話してきましたが、
近年ではインターネットの普及により、取引相手と顔も合わさずにを取引する場合があるかもしれません。
例えば、パソコンメーカーがオンラインで注文を受けて、新興国の顧客にパソコンを送る場合、
輸出貿易管理令の該非判定をしっかり行われなければなりません。
荷物の価格や大きさに関わらず、商品を輸出する場合には、たとえ国際郵便などを利用する場合でも
輸出管理令の対象になる可能性があるということを忘れないことが大切です。
※ ホワイト国とは[アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、
フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、
ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、米国、韓国]の26ヵ国
参考ホームページ:経済産業省
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こんにちは。今回は私、西田が担当です!
世界はどんどん身近になっておりますので、荷物を外国に送る場合も
ちょっとした郵便を送るかの様な感覚になってしまうかもしれません。
しかし、実際に、海外に荷物を送ろうとした時、受け付けてくれなかったり、
送った荷物が手元に戻ってきてしまう事があります。
そのような事がおきる原因の一つに輸出貿易管理令(輸出令)※の規制
に荷物が該当してしまった事が考えられます。
輸出令とは、簡単に言うと、兵器やその関連汎用品(輸出管理令第1条の別表第1に基づく)
について輸出の際に経済産業省の許可が必要だということです。
兵器というと、一般的には関係なさそうな気がしますが、
兵器関連汎用品の定義は広く、多くの産品がその範疇に入ってしまいます。
例えば、テレビも兵器関連のモニターになるかもしれないなどの理由で、
輸出令該当品目になり得るのです。
ではどんなテレビでも輸出する場合には経済産業省の許可を得なければならいのかというと、
そうではありません。
経済産業省のリスト規制に該当しない場合には、許可を得る必要はありません。
許可を得る必要はありませんが、通関の際に輸出令に「該当しない旨」を記した書類の提出を求められます。
それを「非該当証明」といい、多くの場合、メーカーさんや輸出者がリスト規制に該当するかどうかを確認し作成します。
具体的にどのような事を確認するかというと、テレビの場合の一例ですが、
輸出貿易管理令 別表第1 2-(13)に
「誘導炉、アーク炉若しくはプラズマ若しくは電子ビームを用いた溶解炉
又はこれらの付属装置」とあります。
誘導炉、アーク炉とは電気を利用した炉で、アークとは工場などで鉄を溶接する際に用いる
「バチッ」という白い光(放電)のことです。
これらの炉は原子力発電システムに用いられることがあり、
その一部にテレビモニターが付属する事があるそうです。
上記に該当する場合、より詳しい項目別対比表というもので、
原子力発電システムに利用できる炉であるか判別していかなければなりませんが、
耳慣れない言葉が並んでいることも多く、
専門的な知識がないと判断が難しい場合があります。
結果、メーカーさんが『リスト規制品目・技術』であるか否かの判定をし、
非該当証明書を作成する事が多くなります。
また、メーカさんによっては、ホームページ上で、非該当証明書を依頼する事が
できるようにしている場合もあります。
最後に非該当証明の参考様式が経済産業省のホームページに掲載されておりますので、
一度、ご確認いただければと思います。
非該当証明の参考様式(経済産業省のホームページ)
この様式の中に、「輸出貿易管理令別表第1の16項には該当しております」という表現があります。
これはキャッチオール規制というものには該当しているということですが、
このキャッチオール規制については長くなりそうですので、次回、お伝えしたいと思います。
輸出令に該当する可能性がある場合でも、商品の形状、材質等から非該当であることが明らかな場合、
非該当証明の提出を求められない場合もありますが、事前確認と準備は貿易の基本でありますので、
輸出をお考えの場合には、しっかりと準備する必要があると思います。
※ 「外国為替及び外国貿易法」に基づき、許可または承認を要する特定の貨物の輸出の範囲等を規定した政令。
1949 年(昭和 24)制定。
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