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共和商会の古迫です。
今年2018年は、非常に台風の多い年でございました。
海上貿易において台風は、規模の大小、また上陸の有無を問わず大きな影響をもたらすことになり、普段以上に想定外の事態が起こりやすくなります。
今回は、海上貿易における台風の影響について、関係各所の対策などの観点から書かせていただきます。
1、コンテナヤード
台風が上陸した際に最も影響を受けやすいのがコンテナヤードと言えます。台風がもたらす暴風や高潮などにより、蔵置されているコンテナが崩れる、流出するといった可能性があるため、上陸が確実になった場合、作業を停止してコンテナヤードを閉め(ヤードクローズ)、対策に取り掛かります。
具体的には、通常は5段以上積み上げているコンテナを3段から4段のピラミッド状に積み直し、ラッシングベルトや金具で固定する、本船荷役で使用するガントリークレーンを固定するといった対策をとります。
これらの作業には最低でも半日から1日程度必要となるため、台風上陸の可能性が濃厚となった時点で、各コンテナヤードの停止するタイミングについて発表がある場合がほとんどです。 そのため、コンテナ搬入および搬出を行うにあたって、コンテナヤードの動向をよく確かめる必要があります。
輸出の場合は搬入の締め切り日とヤードクローズが重なると、締め切り日が伸びることもあります。
輸入の場合は、ヤードクローズになると台風が通り過ぎるまでコンテナが取り出せなくなるため、本船の到着時期と合わせて、調整が必要となります。
また、勢力の強い台風の場合、残念ながら実入りコンテナがダメージを受けてしまう可能性もございます。そのため、引取り可能なものは可能な限り早く引き取り、輸出コンテナはコンテナヤード再開後に持ち込むといった対策が有効なこともございます。
2、船会社
主に本船の到着日といった点で各船社の動向については常に注視しておく必要があります。
台風が接近すると、各本船は船同士や岸壁への衝突を防ぐため、台風が過ぎて安全が確保できるまで、沖へ退避します。
これに伴い、通常で少なくとも2、3日から数日程度、積み替えの場合はそれ以上の遅れが生じることになります。台風通過後も各地の港が混雑するため、しばらくの間本船の遅延が継続することがほとんどで、スケジュールを回復するために一部の寄港地を抜港することもございます。
積載予定・到着予定の港が対象となる場合、本船変更や国内コンテナ輸送の手配替えなどが必要となるため、可能な限り事前に確認しておく必要があります。
さらに、台風の影響で注意しなければならない点としては、フリータイム切れによる保管料(デマレッジ)及びコンテナ延滞料(ディテンション)がございます。これらは船社に支払う費用で、コンテナの引取りまたは返却までに一定の期間(フリータイム)を過ぎると、超過1日ごとに加算されます。
台風が接近するとコンテナヤードの作業が停止し、再開後も非常に混雑するため、コンテナのフリータイム切れがしばしば発生します。フリータイムは輸出者様が船社にあらかじめ申請することで延長が可能なため、台風の接近が見込まれる際は最大に延長しておかれると良いでしょう。また、フリータイムが切れてしまった場合でも、台風でコンテナヤードが止まっている間については考慮される場合もございますので、ブッキング船社と相談されるのもよいかと思われます。
3、CFS倉庫
混載便を扱うCFS倉庫は、基本的にコンテナヤードのように貨物の固縛を行う必要がないため、接近が予想される段階では通常営業している場合が多いです。ただし、台風の接近状況によっては午前中で受付を終了する、場合によってはトラックが並んでいても荷受や引き取りを中止することもあります。こういった対応は、倉庫毎に異なるため、事前に搬入・搬出先CFS倉庫に確認し、当日にも再確認しておく事が重要と言えます。
ここまで、主要な関係各所の台風対策と影響について書かせていただきましたが、最後に輸送への影響について触れさせていただきます。
台風が来ると、前述の通り船のスケジュールは乱れ、港の荷役も停止するため、コンテナのドレージやトラックでの輸送も必然的にスケジュールに狂いが生じてきます。そのため、前後が非常に混雑し、車が確保しにくくなるといった状況がしばらくの間続きます。台風が連続して発生した場合や大きな被害を受けた場合、さらに長期化することになります。 また、日本に上陸しない場合でも、台風が通過する各国において同様の現象が起こるため、海外の進路についても注視しておく必要があります。
そのため、普段以上に納期までのスケジュールに余裕を持たせ、輸出入の予定が確実にわかっているものから随時進めていくといった対応が必要となってきます。