こんにちは、共和商会の林です。
輸出や輸入といった国際物流は、船便と飛行機便とに大きく分かれており、
私どもは、船便を専門として、日々業務に関わっております。
船便の場合、輸送上の大きなポイントとなるのは「港」です。
また、船便では、かなりの数量の物品が「コンテナ」を利用して輸送されております。
今回は、上記を踏まえ、国際物流から見た「港」について、
実際のデータを元に、お話ししたいと思います。
すこし古い情報となり恐縮ですが、
次のWebページに「世界主要港2014年コンテナ取扱量」が掲載されております。
http://www.jpmac.or.jp/img/relation/pdf/pdf-p34-39.pdf
まず、1位の「上海」から10位の「天津」まで、
上位10港の内、なんと7港が中国の港となります。
中国が「世界の工場」と言われてからずいぶん経ち、
今では、人件費アップなどで、その役割は、他の新興国に移りつつあるとはいえ、
まだまだ、中国は、世界中に、様々な物品をどんどん輸出しており、
また、逆に、以前より所得水準の上がった中国は、
世界中から、様々な物品を輸入しているため、このような実績になっているのでしょう。
ご参考までに、その他の10位以内にランクインしている各港
具体的には、「シンガポール」「釜山」「ドバイ」および
一国二制度により中国でありながら中国ではない「香港」は
いわゆるハブ港と呼ばれており、
コンテナ取扱量は多いものの、かなりの割合がコンテナ積替えによるものとなっており、
実際の輸出入とは異なります。
(13位「高雄」なども同様です。)
このことから考えても、世界における中国の港のコンテナ取扱量の多さは、
突出していますね。
次に、もう少し範囲を広げて、30位までを見てみますと、
上述した中国を含めて、アジア新興国の港が確認できます。
具体的には、
「ポートクラン(マレーシア)」「タンジュンペラパス(マレーシア)」
「レムチャバン(タイ)」「タンジュンプリオク(インドネシア)」
「ホーチミン(ベトナム)」など、各国のメイン港が軒並みランクイン。
その取扱量は、日本最大のコンテナ取扱港である「東京」を、
いずれも大きく上回っております。
ご参考までに、日本では、2010年に「国際コンテナ戦略港湾」として、
「東京港」「横浜港」「大阪港」「神戸港」を選定し、
アジア最大の貿易国であったかつての栄光?を取り戻すべく、
国を挙げて取り組んでおります。
http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk2_000002.html
日本は、四方を海に囲まれた島国のため、港が点在しており、
他の国のように、貿易が特定の港に集中しておりません。
そのため、世界の主要港と比べ、各港とも小粒となり、
高コスト・低サービスとなってしまいます。
一方で、その昔、主要な輸出者であった日本の大手メーカーさんは、
為替のことなどもあり、いわゆる下請け中小メーカーさんとともに、
次々と海外に出ていき、現地生産を増やしていきました。
こうして、現実は、上記4港のコンテナ取扱量をすべて合計しても、
「釜山港(韓国)」一港の取扱量にすら遠く及ばないようになっております。
「国際戦略港湾」時すでに遅し、という気もするのですが・・・
最後に、世界の「港」のコンテナによる国際物流は、
アジアを中心に、次のように想像できるかと思います。
アジアの各港で、世界の取扱量の2割程度のコンテナが行き来し、
アジア各国の需要を満たす完成品の輸出入が行われると同時に、
部品・機械・器具なども多数輸出入される。
そして、それらを元に、アジア各国で製造された完成品が、
アジア各港から欧米の各港へ、世界の2割程度のコンテナで輸出され、
同様に、世界各地の港へも多数輸出されている。
以上、ご参考となりましたら幸いです。
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