こんにちは、今回の担当は西田です。
つい先日、中学生の甥っ子から「月の裏側は地球から見えないのはなぜ?」と尋ねられました。私もその事実は知っていたのですが、私自身、ただ知っているだけで、十分な理解をしていなかったため、すぐに説明することができませんでした。
(月の裏側が地球から見えないのは、月の自転と公転の周期が同期しているためです)
同じようなことが仕事でもありました。、それは自転車の輸入手続きについて、お客様に尋ねられた時です。
以前の別の担当者が書いたブログで自転車を輸入する際には、「ブレーキにアスベストが使用されていないか」を確認する必要があると書かせて頂きました。
私も、それは知っていたのですが、どのようなブレーキにアスベストが使用されている可能性があるのか、アスベストが使用されていたらどうなるか等、詳細を十分に理解をしていなかったのです。
そこで今回は、自転車の輸入手続き、
特にアスベストの使用に関する規定について改めて、確認してみたいと思います。
まず、アスベストの法律上の規定はどうなっているか見てみましょう。
労働安全衛生法に次の通り規定があります。
○労働安全衛生法(抜粋)
(製造等の禁止)
第55条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の
健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は
使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、
政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
○労働安全衛生法施行令(抜粋)
(製造等が禁止される有害物等)
第16条 法第55条の政令で定める物は、次のとおりとする。
四 石綿
九 第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の1パーセント
を超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の0.1パーセントを超えて含有する
製剤その他の物
※石綿及び石綿含有製品は、製造や取扱いの過程で労働者に重大な健康障害を生ずるため、
労働安全衛生法で製造や輸入が禁止されています。
この規定に違反すると、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられるとともに、
両罰規定により法人なども罰金刑を科せられます。
すなわち、石綿(アスベスト)をその重量の0.1%を超えて含有する製品は、全面的に輸入禁止となっております。
次に、自転車へのアスベスト使用と税関での確認事項についてです。
自転車へのアスベスト使用については、実際のアスベスト含有事例や厚生労働省と経済産業省による調査結果に基づいて、ブレーキに対して、特にブレーキパッドとブレーキライニング(どちらも、ブレーキに組み込まれる部品で、これらの部品の摩擦によって、ブレーキを制動する)を組み込んでいるものが、注意の対象となっているようです。
では、自転車に使用されるブレーキにどのような種類のものがあるのかといいますと、
おおよそですが、下記の図のようになります。
このうちリムブレーキとは左右のブレーキシューを車輪のリムに押し付けることで制動力を効かせるブレーキで、この種のブレーキシューの摩擦材はおおよそゴム製であり、アスベストの使用は考えにくいようです。下記写真は弊社のママチャリの前輪のブレーキです。
まとめますと、アスベストの使用が疑われる可能性の高いブレーキはハブブレーキで、
そのうち特に、
・ディスクブレーキ
・バンドブレーキ
・内拡ブレーキ
については、注意が必要ということになります。
そして、税関での確認事項も、まず自転車に使用されているブレーキがどの種類かということになります。
そのため、通関の際にはカタログや写真など、特にブレーキの形状、材質がしっかり確認できる資料を税関に提出することが、望ましくなります。
そこで、ブレーキがアスベストの含有の可能性があるものであった場合、メーカー発行のアスベスト非含有の証明書の提出を求められます。
自転車輸入時の必要事項をまとめますと
1メーカーにアスベストの不使用を確認する。
2ブレーキの種類、材質の確認とそれを判別できるカタログ、写真などを準備する。
3メーカーにアスベスト非含有の証明書を発行してもらう。(特にハブブレーキの場合)
となります。
因みに、アスベストはEU加盟国(25ヶ国)では、2005年(平成17年)1月から、日本においても2006年9月から使用等が禁止になりました。アメリカでは、2003年(平成15年)8月現在で石綿紙、新規製品等への使用は禁止されていますが、建材、摩擦材等への使用は認められています。中国では禁止されていませんので、
中国で製造された自転車を輸入されるさいには、特に注意した方がよさそうです。
また、厚生労働省より、アスベスト含有製品の輸入禁止について、英語および中国語の
リーフレットが配布されております。
アスベスト全面禁止(平成24年政令改正)[853KB]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000028692.pdf
アスベスト含有製品の輸入禁止について パンフレット 裏面英語版[1,501KB]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000028696.pdf
アスベスト含有製品の輸入禁止について パンフレット 裏面中国語版 [1,677KB]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000028697.pdf
リーフレットに記載されている通り、海外では非アスベスト品とされていても、各国において、非アスベスト製品であるアスベスト含有割合の基準が違うとこいうことも、頭に入れておいた方がよさそうです。
法規制のある商品を輸入する際、その規制の内容を正確に理解することは、輸入者様が不利益を被らないためは、もちろん、その先のユーザー様をまもることにもなるので、これからも精進してまいりたいと思います。
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是非一度、お試しください。