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今回は川本がTPP協定の一部である「米国向け自動車の関税撤廃」
について感じた事を書かせていただきたいと思います。
まず、関税とは輸入国が輸入製品にかける税金のことで、今回TPPで締結された
「米国における自動車関税の撤廃」とは、日本から自動車を輸出した場合に、
米国が日本車を輸入する際にかける税金を撤廃する、という事になります。
関税が撤廃されれば、米国で日本車はより安く販売でき、ニュースなどでは
日本車メーカーは恩恵を受けられるという報道の印象を受けます。
世間一般では、上記のような認識があるのかもしれませんが、関税の撤廃だけで、
自動車メーカーの利益に繋がるでしょうか。
個人的にまず疑問なのは、関税が完全撤廃されるのが、25年後であり、
現状でさえ自動車メーカーの海外生産比率が増加傾向にあり、今後さらに地産地消
が進む可能性があるという事です。
2015年度上半期の自動車メーカーの海外生産比率は、トヨタが65%で
2010年上半期から約10%アップ、日産で84%で13%アップ、ホンダで
86%から14%アップ、マツダも30%から38%まで増加しています。
2010年上半期海外生産比率 単位%
トヨタ 日産 ホンダ スズキ マツダ 三菱 富士重 ダイハツ
55 71 72 61 30 44 24 18
2015年上半期海外生産比率(対2010年上半期比増減率) ※1
トヨタ 日産 ホンダ スズキ マツダ 三菱 富士重 ダイハツ
65(10) 84(13) 86(14) 70(9) 38(8) 48(4) 24(0) 30(12)
2015年上半期輸出実績(前年同期比増減率)※2 単位:千台 千未満切り捨て
トヨタ 日産 ホンダ スズキ マツダ 三菱 富士重 ダイハツ
867 249 24 58 372 200 283 5
(-3.6) (6.9) (43.5) (-21.8) (-3) (5.8) (8.6) (31.8)
上記の一覧表のように、各社とも直近5年間で海外生産比率がかなり
増加しています。海外生産が増加すれば、日本から輸出する必要もなくなり、
近年の円安や、関税撤廃の恩恵は受けられない事になります。
製造メーカーが海外生産する要因としては、現地での需要動向を早急に察知し、
柔軟に対応できる事や、国内との人件費の違い、為替要因などがあり、早急に
国内生産に切り替えることは簡単ではないと思います。
市場規模の大きい米国で25年も先に関税が撤廃される事で、自動車メーカーの利益に
どれほど影響があるのか気になってしまいます。
今後の各社メーカーの輸出動向や、海外生産に関する動向に注目したいと思います。
※1、2 参考:2015/10/27付け 日本経済新聞 電子版「2015年9月と15年度上半期の
乗用車8社の生産、輸出、販売実績」を元に算出
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