ご無沙汰しております。
今回のブログは西田が担当です。
先日、久しぶりに中学生になる甥っ子と映画を見に行ったのですが、
入場時に甥っ子の生徒手帳の確認を求められ(前日にチケットを買うときには一度見せたのですが)
今まで、確認を求められたことがなかったので、持っておらず、困ってしまいました。
甥っ子は、特に大きな体格ではありませんでしたので、なくても入場を認めてもらえましたが、
今後は必ず提示する必要があるそうです。
このように、不意に何かの証明が必要になることは、輸入手続きの際にもあります。
最近では、ぬいぐるみの輸入手続きの際に、DEHP(フタル酸エステル)の混入について、
メーカーさんの証明書を食品検疫所より、求められた事例があります。
どういう事例かといいますと、ぬいぐるみは食品衛生法の規制対象に該当しており、
輸入の際には食品検疫所に輸入の届出をする必要があるのですが、
その際、フタル酸エステル類は食品衛生法施行規則第78条に規定するすべてのおもちゃ(以下指定おもちゃ)
の可塑化された材料からなる部分について、それぞれ 0.1%を超えて含有することが禁止されており、
可塑化された材料からなる部分が含まれる指定おもちゃは、公的検査機関の検査証明書を届出の際に、
提出する必要があります。
(玩具の輸入届出について、詳しくは私の以前の
ブログをご覧くださいませ。)
今回も通常通り、検査証を添付し輸入届出を致しましたが、いつもはフタル酸エステル類の検査結果が「検出なし」で
あったのに対し、今回はDEHPについて0.02%含有との結果が出ておりました。
当時の私はその結果について0.1%以下の含有率だから問題なしと、特に意識せず、検疫所に書類を提出してしまったのですが、
結果、検疫所より、DEHPがなぜ混入したのかを証明するメーカーさんの証明書を提出するように指導されたのでした。
これはどうしたことかと、よくよく、調べてみましたところ、
厚生労働省のホームページにあるフタル酸エステルの規格基準の取扱いに関するQ&A
に以下のような記述がありました。
Q5 ポリ塩化ビニル製のおもちゃについては、これまでは使用禁止だったも
のが、今回 0.1%の限度値が明示されているが、一部規制が緩和されたと考
えてよいか。
A5 0.1%の限度値は、材質への製造工程からのコンタミネーション等を考慮
した限度値であり、フタル酸エステルの可塑剤としての意図的な使用を容認するものではありません。
これまで規制されてきた DEHP 及び DINP の使用の有無についても、0.1%
を指標として、運用されてきたものであり、今回の改正によっても実質的
な取扱いに変更はありません。
ここに、「フタル酸エステルの可塑剤としての意図的な使用を容認するものではない」との記述があり、
また以下のような記述もあります。
Q4 おもちゃの可塑化された材料とは、具体的にどのようなものが該当するのか。
A4 可塑化された材料とは、可塑剤が使用された材料(最終製品における構
成部分)をいいます。ここでいう「可塑剤」とは、樹脂に対して、その成
形加工を容易にし、もしくは、柔軟性を与えるために、樹脂の分子鎖間に
入り込むように配合される添加剤です。可塑剤のうち、フタル酸エステル
の使用実態が多い材料としては、ポリ塩化ビニルがあげられます。
なお、ポリプロピレンやポリエチレン等一部のポリオレフィン類には、
触媒として数 ppm 程度微量のフタル酸エステルが使用されますが、このよ
うな使用につきましては、可塑剤としての使用ではなく、可塑化された材
料には該当しません。その他フタル酸エステルを可塑剤以外に使用する例があれば、個別に御照会下さい。
ここには「一部のポリオレフィン類には触媒として数ppm程度微量のフタル酸エステルが使用されるが、
このような使用は可塑剤としての使用ではなく、可塑化された材料には該当しない。」
とあります。
これらを総括し、なぜ検疫所からメーカー発行の証明書の提出を求められたか考えてみますと、
「フタル酸エステルの検出がある場合、たとえ検出が規制対象外の0.1%でも、
フタル酸エステルの意図的な使用は認められないので
メーカーが意図的でないことを証明する必要があり、意図的でないならば、
それは触媒としての使用などの材質由来や製造工程での混入(コンタミネーション)が原因である」
ということになるかと思います。
私は、以上のことをメーカーさんに説明し、原材料及び製造工程に基づいて、証明書を頂戴いたしました。
このように、輸入手続きにおいて、食品検疫所や税関などから、想定外の書類の提出を求められることがあります。
そういったとき、なぜそのような書類が必要なのかを理解していないと、書類の作成をお願いすること自体が難しいのですが、
上辺だけの知識では、力不足になってしまいます。
今後も精進して、知識を増やし、臨機応変に対応できるようにしたいと思います。
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