こんにちは。共和商会の林です。
今回は、TPP交渉などで必ず議題となり、世間の関心も高い輸入関税の引き下げについて、
お話ししたいと思います。
まず、現状、日本へ物品を輸入する際にかかる関税は、
一般的に、協定税率という税率が、
世界の大半の国を網羅するWTO(WORLD TRADE ORGANIZATION)加盟国・地域、
また、それ以外の国からの輸入品にも、ほぼ同様に適用されております。
そして、なんらかの理由がある場合に、
この協定税率より、関税を下げることになります。
例えば、特恵関税制度は、輸入相手国が、いわゆる開発途上国の場合に、
その国からの輸入を、他の国からよりも優先し、その国が豊かとなる助けになるよう、
他の国からの輸入に比して関税を下げる、
あるいは、経済連携協定(EPA)は、経済的利益が一致するであろう国に限り、
各々の都合に合わせて選択した物品についてのみ関税を下げる
といった具合に、一部の国や地域との、特定物品の輸出入に限られた話となります。
ということは、ある輸入品の関税が協定税率より下がるためには、
その物品が、どの国で製造され、どの国から輸入されるのかが、
重要なポイントになってきます。
これは、「原産地規則」といって、どの制度を適用して関税が下がるのかにより、
事細かいルールが個々に定められており、
残念ながら、そのルールは統一されてはおりません。
先に述べたように、関税が下がるのは、一部の相手との限られた物品の取引となるため、
各々の国の事情を反映し、統一できないのが現状かと思われます。
このため、関税を下げるために「原産地規則」を満たしていることを証明する書類
=「原産地証明書」は、世界中に、多数の書式が存在することとなり、
また、その取得には、手間と時間がかかることとなります。
合わせて、原産地証明書は、原本を税関へ提出する必要があるため、
輸入品とは別に、輸入相手から送付してもらわねばなりません。
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こういった事情から、特恵関税制度やEPAを利用して、輸入関税を下げようと、
輸出者に、原産地証明書の原本送付を依頼したところ、
制度により下がる関税の金額より多い手数料を
別途請求されたお話を聞くことがあります。
実際、EPAなどは、マスコミで、よく報道されておりますが、
その利用率が半分にも満たないEPAもあり、
その理由の一つとして、
「原産地証明書取得手続きが煩雑・高コスト」
ということが挙げられているのです。
ご参考までに、このようなEPAの問題点を改善すべく、
今年7月に、日本とオーストラリアとの間で署名されたEPAは、
原産地証明書が不要となる「自己申告制度」が導入されることに決まっております。
これを皮切りに、EPAなどが、もっと利用され、
世界経済が潤うことを願っております。