こんにちは。
通関士の橋本挙裕(たつひろ)です。
貨物を日本へ輸入するためには、
税関へ申告し許可を受けなければなりません。
そのためには、書類の審査及び貨物の検査を受ける
必要があります。
検査には、
「申告している関税率の番号が貨物のもので合っているのか?」
「偽ブランドのように輸入が禁止されているものではないか?」
「原産地の表示は正しいか?」
等、貨物自体を調べることを目的にするものと、
「申告されていない貨物いわゆる密輸がされていないか?」
を目的にするものがあります。
後者の場合、以前はコンテナの中に商品が
たくさん詰まっている場合であっても、中身を確認する為に
すべて出していたため、かなりの時間と費用を要していました。
貨物を取り出す作業は、主には税関専属の改品業者さんが行うのですが、
量が多い時等は、私も一緒になって汗だくで作業したことを思い出します。
通関士も意外と体力が必要なのです。
現在は大型X検査装置という装置が登場しており
コンテナに貨物を積み込んだまま装置の中へ入り
20分ほどで結果がでてきます。
(人がレントゲン写真を撮るのと同じような感じです。)
コンテナの中が鮮明に映し出されるので密輸貨物が入っていても
一目瞭然に分かるのです。
こうして税関検査の精度が上がることで、貿易の安全、安心の
向上につながるのです。
そして問題なければ輸入許可となり、
大型X線装置の検査は貨物を触る必要がない為、これまでより
検査時間の大幅な時間短縮となり、よりスピーディーな
引き取りができるようになりました。
大型X線が登場したことは、通関のスピードアップにもなり、
お客様にとってももちろん良いことですが、
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが
通関の私にとっては、貨物を実際に眼にする機会が減ってしまうので
貨物をみて商品知識を身につけれる意味では少し残念な所もあるような
気がすると感じています。
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いつも弊社のブログをご覧頂きありがとうございます。今週は通関の
川本が書かせていただきます。
つい先日、国会では消費増税法案が衆議院を通過しました。我々の生活に
直結する消費税増税に関しては国民全体が高い関心を寄せている事かと思い
ます。
ところで、その消費税ですが、海外から商品を輸入する際にも支払う必要が
あります。貿易上の消費税(広義)は地方消費税と消費税(狭義)に細かく分けら
れています。貿易上でも消費税はおよそ5%ではありますが、算出方法の
複雑さからちょうど5%にはならない事もありえます。
貿易上の消費税算出は少し複雑ですので、ここで説明させて頂きたいと思います。
(輸入許可書をお持ちでしたら、以下の計算の参考になるかと思います)
輸入を行う際、輸入者が輸出者に支払う金額をインボイス価格と言いますが、
その価格にFOB契約の場合、海上運賃、海上保険(保険を掛けた場合)を
加算した金額、C&F契約の場合は海上保険が掛けられていれば、その
保険金額を加算します。これをCIF価格といい、輸入申告はこの価格で
行わければなりません。
(注:その他にも加算すべき要素がある場合がありますが、ここでは省略します)
まず関税の計算をします。(商品が品目分類上1品目の場合)
(1)インボイス価格が外貨建ての場合、円に換算する。
(2)海上運賃や、海上保険を加算する(外貨の場合は円に換算)
以上で算出された額がまず関税を算出するベースの申告価格(CIF価格)
になります。
(3)上記CIF価格の1000円未満を切り捨てて、関税率をかけます。
(例)CIF価格 ¥1,803,786 → 1,803,000
商品の関税 4.8%の場合 1,803,000 × 0.048 =¥86,544
¥86,544 の100 円未満を切り捨てて、¥86,500 が関税(支払額)になります。
次に消費税の計算です。
(4)CIF価格(切り捨て前)に関税(支払額)を加算します。
1,803,786 + 86,500 = 1,890,286 (消費税の課税標準額になります)
(5)課税標準額の 1,000 円未満を切り捨てて、4%かけます。
1,890,000 × 0.04 = A.75,600
A.75,600 の100 円未満を切り捨てて ¥75,600 が消費税(支払額)になります。
(6)消費税(支払額)¥75,600 に25%をかけます。
75,600 × 0.25 = A.18,900
A.18,900 の100円未満を切り捨てた額、¥18,900 が地方消費税になります。
なお、商品が複数ある場合は、まず各商品の合計金額ごとに分けて、個別に計算します。
(例)インボイス価格 ¥1,000,000 の場合
商品A ¥500,000 (1欄目)
商品B ¥400,000 (2欄目)
商品C ¥100,000 (3欄目)
その次に、運賃や保険などの加算金額を各商品の金額に比例した額を振り分けます。
(「按分」といいます)
運賃や保険などの加算要素合計額が ¥60,000 の場合
商品A 60,000 ÷ 1,000,000 × 500,000 = ¥ 30,000 (商品Aの金額あたりの按分額)
商品B 60,000 ÷ 1,000,000 × 400,000 = ¥ 24,000 (商品Bの金額あたりの按分額)
商品C 60,000 ÷ 1,000,000 × 100,000 = ¥ 6,000 (商品Cの金額あたりの按分額)
(加算金額 ÷ 全体額 × 各商品合計額)
按分して算出された額を各商品額に加算した額が商品毎のCIF価格となります。
商品A ¥30,000(按分額)+ ¥50,000 = ¥530,000 (商品AのCIF価格)
商品B ¥24,000 (按分額)+ ¥400,000 = ¥424,000 (商品BのCIF価格)
商品C ¥6,000 (按分額)+ ¥10,000 = ¥106,000 (商品CのCIF価格)
商品によって関税が異なりますので、それぞれ商品ごとに上記(4)から順に計算していきます。
また、関税が無税の場合は、(5)の計算から始まります。CIF価格の1000円未満を切り捨てた
金額に4%をかけ、算出された額の100円未満切り捨て額が地方消費税、地方消費税の
25%が消費税になります。
普段から輸入をされている方でも、輸入許可書の消費税額を見て、その算出方法に疑問
を抱かれている方も少なくないと思います。またそのようなお問い合わせが実際に弊社
にもあり、口頭ではなかなかご説明しづらい内容ですので、今回当ブログで書かせて頂きました。
拙い説明ではございますが、少しでもご参考になればと思います。
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今週は林田が担当致します。
先日、道を歩いていますと川に見たことのない動物がいました。
何の動物か調べてみますと「ヌートリア」という動物でした。
ヌートリアは、外見はとてもかわいいのですが、
日本の生態系や農業等へ被害を及ぼすもの、
又は及ぼすおそれがあるものとして特定外来生物として認定されていました。
ですので、これ以上増加させないために、
輸入することも原則禁止となっています。
しかし、例外として、研究や教育等の目的の場合に限り、
以下の条件を満たすことで特定外来生物を輸入することを認められているようです。
・特定外来生物を飼養するための適した施設を準備し、飼養等の許可を受ける。
・輸出国の政府機関等が発行する、特定外来生物の種類名を証明する書類を税関に提出する。
そして特定外来生物の輸入の手続きは、
成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港でのみ行うことができます。
私は「特定外来生物」という言葉の意味も知らなかったですし、
特定外来生物の輸入も取り扱った事はないのですが、
今回調べてみると上記の通り、簡単ではないことがわかりました。
日本の生態系や農業を守るための規制ですので、
当然、厳しく規制されていました。
最近では、特定外来生物に指定されているアライグマによる農作物の被害等をテレビで見ることがあります。
かつてアライグマはペットしての人気が高かったこともあり、
多くのアライグマが特定外来生物に指定される以前に輸入されていました。
しかし飼いきれなくなって野外に放されたり、飼育檻から逃亡したりするケースが続出し、
各地で野外への定着が進みました。
特定外来生物による被害ばかりに目がいきがちですが、
そういった背景があることもちゃんと理解しておかなければ、
今後も同じようなことが起こってしまうかもしれません。
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