こんにちは。
通関士の橋本挙裕(たつひろ)です。
今回は「原産地表示」についてお伝えします。
その前に、まず「原産地」について説明します。
原産地とは、貨物が実際に生産・製造された国又地域を指しています。
貨物の生産、製造が最初から最後まで一つの国又は地域でおこなわれたものと
また、貨物の生産、製造が二つ以上の国又は地域にまたがって
行われた場合は、加工等により大きな変化をもたらした
最後の国、地域が原産地になります。大きな変化というのは
基本的には他に紛らわしい表示等で、関税率表の分類番号の少なくとも4桁目(項)が変更していることです。
例えば韓国で製造されたプラスチックの原料(3901等)を基に中国で全く違う性質のもの
(包装用の袋3923、食卓用品3924等)に加工された場合は、中国が原産地です。
そして、原産地表示とは貨物が生産、製造された国、地域等の記載のことで
例えば、中国製ならば「MADE IN CHINA」とか「ORIGIN:CHINA」のように
貨物自体あるいは包装に書かれたりします。正しい表示であれば問題ないのですが、
原産地の虚偽表示により、生産者からすると、別の国、地域で生産されたものが
本来の生産者の原産地と偽って表示されることにより、消費者に誤解をあたえ
信用を失うといった被害を受ける可能性があり、逆に
消費者も原産地を騙されて購入したことによる被害をうけることになるので
双方を保護する為に原産地の虚偽表示には規制があります。
関税法の第71条に「税関長は、輸入申告のあった外国貨物に、原産地に
ついて直接に(貨物自体に)若しくは間接に(貨物の包装箱等に)偽った表示、
又は(消費者に)誤認を生じさせる表示があった場合には、輸入を許可しない」
さらに、「税関長は原産地について誤った表示又は誤認を生じさせる表示がされている
貨物について輸入申告があった場合は、輸入申告者にただちに通知し、期間を指定し
その者の選択によりその表示を消させ、訂正させ、積み戻させなければならない」と記載されています。
実際に、ある貨物が中国から日本へ輸入されようとした時に、原産国の表示も製造者の表示もなく貨物には販売元の表示として日本の会社名のみがあるだけでした。
これが、税関より、原産地を誤認させる表示にあたるとの指導を受け、
その為、貨物が港でストップすることになり、貨物に中国製の表示を追記するまでは、
輸入許可が認められなかった事例がありました。
このように原産地表示というのは、生産者や消費者を保護する為のものでありますが、
合わせて輸入者にとっても、余計な時間と費用を費やし又せっかくの商機を逃してしまう恐れがあるので、
ご注意頂ければと思います。
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今週は通関の川本が担当させていただきます。
輸出入される商品は、すべて完成されたものだけではなく、
○○PARTSという契約で商品の部品だけを輸出入されるケースも多くあると思います。
その際、世間一般的に○○の部品と思われるものでも、通関の際には、それが「部品」
として認められず、全く別の分類になることがあるため、ひとまとめに「PARTS」では
スムーズに通関できないケースもあります。
前回の「品目分類について」のブログ(http://www.rubiconem.com/blog/cat9/)
では完成された商品の品目分類について書かせて頂きました。
では、その本体の部品(HSコード)はどのように分類されるのでしょうか?
自転車を例に説明させていただきたいと思います。まず、自転車本体は87.12項
「自転車」に分類され、自転車の部品は「部分品、附属品」に該当します。そして、
その部品がフレームであれば、「フレーム体」、ブレーキであれば「ブレーキ」、
サドルであれば、「サドル」といった具合に自転車の部品の中でも更に細分化されており、
それぞれ、明確に独立して品名が記載されていれば、最終的にそれぞれの項に分類されます。
そして自転車の部品で、上記のように明確な品名の記載がなく、あてはまる項
がなければ「その他の部品」に該当します。
(参考:http://www.customs.go.jp/tariff/2009_4/data/87.htm)
しかし、自転車の部品であれば、何でもこの「その他の部品」に該当するわけでは
ありません。例えば、自転車部品のチェーンは自転車の部品には分類されず、
73類の「鉄鋼製の鎖及びその部分品」に分類されます。他にも、
自転車に取り付けるライトは85類の「電気式の照明用又は信号用の機器」に、
ベルは83類「卑金属製のベル、ゴングその他これらに類する物品(以下省略)」
に、そしてタイヤ(新品のもの)でさえも40類「ゴム製の空気タイヤ」に分類
されるのです。一般に自転車の部品と思われるものでも、関税定率法上は「部品」として
認められないケースが多くあります。
このように見てみれば、逆に何が「自転車の部品」に該当するのか判断が
難しく思えてきます。例としては、ハンドルのグリップや泥除けのフェンダー、本体に
限定して使用される部品(本体に使用するために加工された取り付け具)などで、他の
項に明確な記載がされていないものが該当します。
この分類の原則としては、一般的な記載をしている物品よりも限定して記載されている物品
があれば、そちらを優先するという通則があります。自転車のベルを例に見た場合、
「自転車の部品」というよりも「卑金属のベル」のほうが、より限定して関税率表に品名が
記載されています。他も同様に、漠然とした「部品」という記載よりも、具体的な記載が
あればそちらに分類されることが原則となっています。
(関税率表解説により、品目ごとに例外はあります)
また、他の項に限定した記載もなく、関税定率法の規則により本体の部品として分類出来ない
場合は、材質分類として39類のプラスチック製品や73類の鉄鋼製品などに分類されることも
あります。
関税率表の規則により、分類はそれぞれ変わります。「これが『本体の部分品』に分類できて、
これがこの項に分類されるのか」と不思議に思うこともあります。そのため、部品の形状や
材質、用途、本体が何であるかが品目分類や通関を行う上で重要な要素となっております。
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今週は林田が担当致します。
先日、小笠原諸島が世界遺産に登録され、
観光に行かれる方が増加しているとのニュースをテレビで見ました。
観光客の方が船から港に降りてすぐ靴についた泥を落としている場面が映っておりました。
こうすることによって本来、小笠原諸島にいない生き物を入り込ませないようにして
生態系を崩さないようにしているのですね。
実は貿易でも同じようなことを行っております。
これは植物防疫法という法律によって規制されております。
植物防疫法とは、輸出入植物及び国内植物を検疫し、並びに植物に有害な動植物を駆除し、及びそのまん延を防止し、農業生産の安全及び助長を図ることを目的としています。
例えば輸入貨物の多くに使われている木材こん包材ですが、
日本の植物に有害な動植物の侵入経路となることが国際的に懸念されたことから、
特別な処理を木材こん包材に施さなければ日本に入れることができません。
以前では木材こん包材には特に規制はありませんでした。
過去には、日本に生息していなかったシロアリも木材こん包材より、日本に持ち込まれたと考えられております。
そういった病害虫の侵入を防ぐため、
平成19年3月より木材こん包材には、下記のような処理が必要になりました。
大きく分けまして熱処理とくん蒸処理に分かれ、さらに細かい条件があります。
この処理を行われた証として木材こん包に下記のような焼き印などを施します。
左の「IPPC」の文字とマークは国際植物防疫条約のシンボルマークとなっています。
右のKRとは国コードですので韓国で生産された木材こん包であることを示しており、
「128」は生産者コードになっています。
下の「HT」は熱処理がされていることを示し、
くん蒸の場合は「MB」となります。
では木材こん包材には必ずこういった処理が必要かといいますと、
そうではありません。
接着剤の使用、加熱加圧又はそれらの組み合わせによって作られる合板、ベニヤ板などの加工木材、
ベニヤのむき芯、おがくず、木毛、削りくず及び厚さが6ミリ以下の小片状に裁断された木材は、
上記のような特別な処理をせずに日本に入れることができます。
もし処理のされていない木材こん包材が、日本に入ってきますと貨物搬入倉庫にて植物検査を受ける必要があります。
検査結果が不合格だった場合は、貨物は木材こん包材と分離させ輸入申告し、
木材こん包材は、病害虫の種類や付着状況によって異なりますが、
「廃棄」、「消毒」、「病害虫の付着している部材の選別及び焼却」のいずれかを実施しなければなりません。
木材こん包材にはこういった規制がありますので、代用として、
プラスチック製のものや紙製のものを使用することも一つの案になります。
上記は日本に木材こん包材を入れる場合に限ってのことですが、
諸外国でも木材こん包材に対して規制があります。
それがこちらになります。http://www.maff.go.jp/pps/j/konpozai/kuni/country.html
これから初めて輸出をされる方や、
輸出したことのない国へ輸出される方は確認しておいたほうがいいのかもしれません。
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是非一度、お試しください。
こんにちは、花牟礼(ハナムレ)です。今年も恒例?になりましたバーベキューを開催しました。 初めてブログを書かせてもらった時もバーべキューの様子を紹介させてもらいました。そう思うと、ブログを開始して一年…時が経つのってほんと早いものです。
肉や野菜を買い出し、準備万端!!
今回も会社前の川沿いの空き地にてバーベキューを開催することにしたのですが、当日はあいにくの雨… しかも昼過ぎから雷が鳴り、かなりの雨が降ってきました。
バーベキューは夕方からの予定だったので、夕方までには止みますようにと祈るばかりでした。
この祈りの甲斐があったのか?始める直前になると雨も小ぶりになり、始められる雰囲気になり、いざ開始!!
従業員全員が一つの場所に集まり、飲んだり食べたりすることって一年にそう何度もできるものではないので、短い時間でしたが、この貴重な時間を楽しみました。
肉を食べながら、外からあらためて会社の建物を眺めていると、年季の入った看板、いまや珍しいのではないか木造の倉庫、手すりが錆びてきた外付け階段が目に飛び込んできて、あらためて会社の歴史を感じます。
大正10年にこの大阪の地で創業し、現在のこの場所で業務を開始したのは昭和25年のことでした。当時はまだ通関業を行える免許は持っておらず、保税倉庫として、倉庫でお客様の商品を一旦お預かりし、倉庫前の川から一年前のブログでもご紹介しました「はしけ」という小型の船舶に積みおろしする業務が主でした。
昭和44年に通関業の免許を取得し、輸出入手続きを行えるようになり、昭和47年には損害保険の代理店業を開始し、お客様の輸出入手続きにおいて海上保険のお引き受けもできるようになりました。
そして、ここ10年の間にちょっとカーゴ便やぐるっとアジア便などのサービスを開始しました。
今年弊社はお客様、関係各所皆様の長きにわたるご愛顧のおかげで創業90周年を迎えることになりました。
これからもお客様に喜んでいただけるようなサービスを提供させて頂きたいと思います。
秋が近づいておりますが、まだまだ節電と暑さの狭間で格闘している西田です。
私ごとですが、私の部屋は直射日光があたる3階建ての3階にあり、
窓も小さいので熱がこもる上、クーラーのないので、部屋は蒸し風呂状態です。
そのため、少しでも涼しい2階のリビングで涼むようにしています。
実は船積みされたコンテナにも似たような事が言えます。
甲板の最上段や最舷側に積まれ、
周辺に別のコンテナがなく直射日光に晒されてしまうと、
特に夏場は、コンテナの天井の温度は日中には70度近くまで上昇し、
夜間には、25度程度まで下がったりすることがあります。
コンテナ内部も45度くらいまで上がる様ですので、
食料品や温度変化に弱い商品は、注意が必要です。
航海中のコンテナ内の温度は下表になります。
運よく船倉に積まれれば、コンテナ内の温度は外気温度と同じ位ですが、
コンテナヤードでの蔵置中にも、直射日光に晒されることがあります。
例えば、ワインなどはなるべく早くコンテナから出してあげないと、せっかくの味が台無しなってしまうかもしれません。
また、この気温の変化でコンテナ内の貨物に
水濡れによるダメージが生じる事があります。
それは、コンテナの大部分は密封型であるため、
輸送期間中の温度変化により、コンテナ内の空気の露点温度がより低くなって、
コンテナ内部に結露が発生することがあるためです。
夏場に冷たい飲み物をコップに入れた時に、
コップ表面に水滴がたくさん付くのと同じ原理です。
大凡、コンテナに結露が発生する仕組みをまとめると以下の様になります。
結露による水濡れの対策としましては
コンテナ内壁面にダンボール紙をあてる。
貨物にシュリンク包装等を施す。
など、たとえ結露が発生しても、貨物に損傷が起きないようにする事が大切です。
また、結露発生の主な要因は上述の温度変化によるものですが、
雨の日や湿度の高い日に貨物をコンテナに詰めたりすると、
結露が発生する可能性も高まってしまいます。
ですので、そのような日を避け、できるだけ乾燥した日を選びましょう。
直射日光は体に良くないと言いますが、輸送の際にもよくないのですね。
ただし、コンテナには私の部屋にはないクーラー付きのものがあります。
冷凍コンテナ(Reefer Container)と呼ばれ、+20から-20℃まで温度設定ができ、
断熱材を使用しておりますので、温度変化もあまりありません。羨ましい限りです。
参考文献
「コンテナ内の温湿度変化のメカニズム」 日本郵船株式会社 株式会社NYK 輸送技術研究所
「貿易物流実務マニュアル」 成山堂
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