税関検査のチェックポイント
こんにちは、今週は、通関を担当している川本が税関検査とはどのようなものか、
その検査の内容についてほんの一部ですが説明させていただきたいと思います。
まず、通関審査には3種類あります。
1つめは簡易審査と呼ばれ、即時許可になります。
2つめは書類審査で税関職員が申告書類をチェックし、問題がなければ許可となります。
そして3つめが検査で、申告した商品を実際にチェックします。
検査にはコンテナーごとX線にかけるX線検査や違法薬物取り締まりのための麻薬犬による検査などがありますが、ここでは最も頻度の多い、現物検査を紹介したいと思います。
私の前回の9月10日更新のブログでは通関の際の商品資料の重要性について書かせていただきましたが、
今回のテーマである税関検査は、提出された書類と貨物が一致しているか、実際にチェックするために行われます。
数量や商品がインボイスなどの書類と一致しているかというのはもちろんのこと、商品の材質や、場合によっては成分などもチェックされます。
この材質や成分によって、関税が変わったりすることがあるので慎重に確認が行なわれます。
食品では成分分析が行なわれたり、繊維製品でしたら編み方を顕微鏡で調べられることもあるのです。
基本的には商品の材質や成分確認、申告した数量に間違いがないか、という点がチェックされるのですが、もうひとつ重要なチェックポイントがあります。
それは、輸入の場合、「原産地誤認」がないかということです。
あまり聞き慣れない言葉だと思いますので、簡単に説明させていただきますと、
例えば、輸入する商品が中国製の商品なのにも関わらず、あたかも日本製であるかのような表示が商品にされている場合、原産地誤認に該当します。
関税法第71条には、
「1、原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については輸入を許可しない」
「2、税関長は、前項の外国貨物については、その原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示がある旨を輸入申告をした者に、直ちに通知し、期間を指定して、その者の選択により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積みもどさなければならない」
と定められています。
法律の条文で、やや分かりにくいと思いますので、もう少し分かりやすく説明させていただきます。
私の体験では、日本の輸入社名しか記載されていない商品が検査で発見され、その表示が原産地誤認にあたると税関職員の方に指摘されたことがありました。
輸入者名や日本語の文章が記載されていても、「MADE IN CHINA」と記載されていれば、中国製と分かりますので問題ないのですが、消費者から見れば買った商品に日本の会社名や日本語でなんらかの表現しか書いてなければ、日本製のものだと誤解してしまう恐れがあります。
そのような誤解の与える表記を「原産地誤認」と考えられており、消費者保護の観点からも、規制されているのです。
要するに消費者に商品の原産国を誤認させないように輸入許可する前に、こういう箇所も検査でチェックしているのです。
税関検査は、申告内容の確認だけでなく、麻薬の取締の検査のように、外国から送られてくる貨物に、国民にとって不利益なものや害となるものがないかを事前に水際でチェックし、我々の生活を守る為に日々、行われているのです。
● 「プロのアドバイス」(書類と現物は必ず一致させること!)も御覧ください>>
● 「プロのアドバイス」(商品の原産国の記載)も御覧ください>>
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今週は林田が担当します。よろしくお願い致します。
今回は「シッピングマーク」についてお話したいと思います。
「シッピングマーク」とはカートンや梱包などに表記されているもので、
特に決まった記入の様式やフォームなどはありませんが、
貨物の番号、仕向け地、原産地などが記載されています。
なぜそのような記載をするかというと、他の貨物との混同を避けるために必要になってきます。
コンテナ貨物につきましては
他の貨物と混同する可能性が低いため、必ずしも必要という訳ではありませんが、
混載貨物の場合ですと、一本のコンテナーの中に宛先の違う多数の貨物が混在するので、
必要になってきます。
ですから、CFS(混載貨物をコンテナ詰めするところ)ではマークの確認が必ずあります。
仮に、マークの有無を問わずに、荷受してしまうと、見た目の同じような貨物があった場合、
混同を避けることが難しくなりますので、CFSではマークの記載を必ず依頼しております。
また、以前に担当していた輸出貨物の混載便で、CFSに入った輸出貨物に貼付されているマークと
輸出書類に記載されているマークが異なっていたことがありました。
輸出通関を行うには、書類のマークと現物のマークが一致しないといけません。
輸出者様にその旨をお伝えし、判断を仰ぎました。
結果、書類のマークに現物のマークを合わせる事となり、
輸出者様の同意の元、倉庫に正しいマークを貼りに行きました。
このようにシッピングマークは、非常に重要な要素です。
私も貨物が入庫された際、まずシッピングマークを確認するようにしています。
大まかではありますが、ご説明させて頂きました。
皆様のお役に立てるように日々精進していきます。
● 「プロのアドバイス」(シッピングマークを忘れずに!)も御覧ください>>
● 「プロのアドバイス」(書類と現物は必ず一致させること!)も御覧ください>>
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お久しぶりです!花牟礼(ハナムレ)です。2回目のブログです。
先日、お昼休みに食後の運動がてら会社を飛び出し、近辺をぶらっと散歩することに…いざ歩いてみると、おもしろい物に出会うことができました。実は、弊社が立地する大阪市西区川口には明治時代、港があり、その周辺には学校の歴史の時間に習った覚えのある長崎県にあった出島のような川口居留地という外国人の集まる街が存在しました。居留地とは国内の決められた地域に限って、外国人が住んだり、店を開いたりしてもいいと国によって認められた場所のことをいい、東京、横浜、神戸、長崎にそれぞれ存在しました。
歩き始めると、さっそくその頃の面影を残す歴史的な建造物に出会いました。そこには、川口基督教会と書いてありました。ちなみに基督はキリストと呼ぶみたいです。その当時は外国人街として歩道や車道、下水道などが整備され西洋風の建物が多く見られたそうです。歩いてみても、いまやコンクリートのビルや倉庫などが立ち並び、居留地としての面影を感じるものは、この教会ぐらいしか見当たりませんでした。少しさびしい感じがしました。
また、少し歩くと、「大阪税関発祥の地」と書いた看板が…
そうなんです!港や居留地のあった川口は今からおよそ140年前に今の大阪税関の前身、川口運上所が作られた場所なのです!!
当時、運上所は今のような輸出入貨物の監督や税金の徴収といった業務や外交事務を行っていました。運上というのは江戸時代の「税金」を意味します。明治5年11月28日に運上所という名前が全国的に「税関」に統一され、大正9年に大阪港に本部機能が移転するまでの間、大阪税関として中心的な役割を果たしていました。ちなみに11月28日は「税関記念日」と制定されています。大正9年の移転後はこの場所は大阪税関富島出張所という名前にかわり、平成20年6月30日にすべての業務が大阪港にうつるまでの間、この発祥の地で、第2の人生を歩むことになります。
川口は大阪港開港の地として、外国からの玄関口としての港の機能を大変期待されていましたが、河口からだいぶ離れた川の上流に位置していたという場所柄、大型の外国船が港まで入ってこれず、河口付近に止まっている外国船から荷物をもらい、前回のブログでご紹介しました「はしけ」という小さな船に荷物を載せて港のある川口まで運んでいて、世界規模に対応できる港にはならなかったのです。
また、税関が設けられた当時、この川口という地には、たくさんの通関業者や倉庫が建ち並び、フォークリフトやクレーンで川に泊めてるはしけに貨物をのせる風景がさかんに見られましたが、川の上流という立地の面や、貨物のコンテナ化などによって、この一帯にあった通関業者などは減少の一途をたどりました。弊社が残った数件の中で続けてこれるのは、お客様のおかげでございます。
大阪税関富島出張所があった建物の裏には「大阪開港の地」「川口運上所跡」という石碑が建っています。
職場の周辺とはいえ、あらためてゆっくり歩いてみると、歴史を感じる小旅行をしたような気分になりました。大阪税関発祥の地ということで、その昔、大阪の貿易の中心地だったことは間違いなく、そういう由緒ある地で国際物流にかかわれるなんて、なんだか誇らしい気分になった今日この頃です…
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西田です。二回目の登場となります。
さて、昨今の円高を背景に新たに輸入を考える事があるのではないでしょうか?
その際に気を付けて頂きたいのが、主に関税法67条及び70条に
『輸出入する貨物が関税関係法令以外の法令の規制貨物に該当する場合は、輸出入の申告に係わる税関の審査の際にその他の法令の許可、承認を受けている旨を税関に証明し、確認を受けなければ輸出入の通関が許可されない』と規定されている点です。
要するに、この他法令(例えば食品衛生法(厚生労働省)、植物検疫法(農林水産省)など)の対象となる貨物は、各省庁に手続きをし、承認を得なければ、通関(財務省)ができない。
ということです。他法令によって管轄の省庁は違いますので、それぞれ個別に手続きをしていかなければなりません。
意外な物がこのような他法令の対象となっている事があり、納期が遅れてしまったり、倉庫の保管料が必要になったりして、思わぬ費用が発生してしまうことがありますので注意が必要なのです。
今回は玩具の輸入手続きの際に、気を付けなければならない、食品衛生法について、説明したいと思います。
玩具が食品衛生法の対象になる事に疑問に感じられるかもしれませんが、何でも口に入れてしまう赤ちゃんが使うガラガラなどに万一、鉛などの有害な物質が含まれていたら、大変です。
そういった危険性をなくすために、主に小さな子供が使う玩具、具体的には、ぬいぐるみ、ママゴト用品、知育玩具などが食品衛生法の対象となるのです。
食品衛生法の対象になるということは、食品検疫所(厚生労働省)に届出をし、審査、検査を受け、受理されなければなりません。
それでは、ぬいぐるみを輸入する場合、どのようにすればよいのでしょうか?
まず、具体的に輸入の手続きに入る前に、売主にぬいぐるみの形状、材質などの詳細をより綿密に確認しなければなりません。
例えば、ぬいぐるみの主な材質について
生地:ポリエステル 中身:綿
通関上はそれだけで十分かもしれませんが
ぬいぐるみにプラスチック製の鼻や髭がある場合、食品衛生法上はその部分も別途検査を受けなければなりません。ですので詳細な材質(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等)が必要になるのです。
その際、商品に使用されている材質や塗料の情報は売主に提示してもらわなければならないはずですが、
売主が商社であったりすると、売主自身もあまり商品の詳細を把握していないことがあります。
ですので、事前に売主が十分な情報を持っているのかを確認することも重要です。
また、ポリ塩化ビニル等、合成樹脂の検査費用は高額になる場合があり、事前に必要な検査についても調べられるとよいでしょう。
そうした事が確認され、貨物が到着しましたら、管轄の食品検疫所に届出書を提出し、必要な検査を受けます。
検査に合格し書類に不備がなければ、食品等輸入届出済証が発行され、通関へと手続きを進めて参ります。
事前に商品の詳細を十分に確認しなければならないということは、玩具だけでなく、
食料品や食器などの食品衛生法に関わるもの全般に当てはまります。
特に材料、材質、食品であれば製造される工程などは正確な記載が問われますので、十分な確認が必要です。
最終的には一度最寄りの食品検疫所に出向き、相談するのもよいかと思います。
相談をすることで、事前に確認すべき事項を知ることができますし、何より安心して輸入の手続きに入る事ができるからです。
さて、今回は主に食品衛生法のついて届出書を提出するまでの留意点についてお伝えさせて頂きましたが、次回はより具体的に
・提出書類がどのようなものであるのか。
・検査時の留意点
など
をお伝えしたいと思います。お楽しみに!!!
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こんにちは、久々の登場となります、共和商会の"ねづっち"こと林です(笑)
今回は「特恵関税制度」適用の制限についてお話したいと思います。
まず、「特恵関税制度」とは、いわゆる開発途上国から特定の製品を輸入する際に、
通常であればかかるはずの関税がゼロになったり、あるいは関税率が低くなったりする制度で、
そのことによって、開発途上国の輸出を増大させ、経済発展を助けてあげようというものです。
ご参考までに、平成21年4月1日現在で、特恵適用国とされているのは140ヶ国・14地域あり、
また、同じ「開発途上国」でも、さらに経済発展が遅れているとみなされている国は
(例:バングラデシュ・カンボジア・ラオスなど)
特恵関税制度の適用範囲が、より幅広く設定されております。
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm
ちなみに、日本の輸入相手国第一位である中国も、
現在は「開発途上国」とみなされており、
原則として、輸入申告時に「原産地証明書(FORM A)」という書類により、
輸入しようとする製品が、中国原産であることを証明すれば、
多くの製品に、特恵関税制度が適用され、
通常より低い関税で輸入することが出来るのです。
ところで、輸入関税とは、国内産業保護のために設けられたものでもあります。
ですから、特恵関税制度といえど、無制限に、なんでもかんでも適用されるわけではないのです。
もとより、特恵適用されないもの(例:一部皮革製品など)もあれば、
シーリング方式といって、1年間に輸入できる限度が設けられているものもあります。
具体的には、シーリング方式に該当する製品は、
特恵関税適用が、毎年4月1日からスタートするのですが、
月ごとに輸入実績が管理され、設定された限度枠を超えると、
次の月の16日から翌年の3月31日まで停止されてしまうのです。
http://www.customs.go.jp/tokkei/tokkei.pdf
(逆に言いますと、上記該当製品を特恵関税で輸入するには、
毎年4月に集中して輸入すればよい、ということになります。)
また、このシーリング方式に該当していない製品であっても、
ある特定の国からの輸入が、短期間で著しく増え、
その製品の日本国内の生産者に大きな影響を与えるとされた場合も
その特定国からの該当品の輸入については、特恵関税適用の対象から外されてしまいます。
例えば、現在、中国から「スプーン」や「フォーク」を輸入しますと、
他の特恵適用国からの輸入であれば、関税ゼロとなるところが、
この特恵関税の適用除外措置により、3.7%の関税がかかってしまうのです。
さらに、特恵関税制度とは、先に書きました通り、
「開発途上国」の経済発展のために設けられた制度であるため、
その国が順調に経済発展を遂げ、晴れて「高所得国」となった場合は、
当然ながら、その国からの輸入製品全般について、特恵関税適用がストップされることとなります。
今年にもGDPが日本を上回ると言われている中国、
特恵適用が全面停止となる日もそう遠くはないのかもしれません・・・
このように、特恵関税制度は、
適用される国と製品だけを見て、いつでも利用できると判断せず、
何か制限があって停止されていないか、その都度、確認しておかないと
予想外の関税に慌てることになりますので注意しましょう。
それでは、最後に、皆さんお待ちかねの?!謎かけを。
「特恵関税制度」とかけまして「困った時、つい頼ってしまう親」と解きます。
その心は・・・
どちらも、いつまでもあると思ってはいけないのです!
<補足>
関税が下がる制度は、今回お話しております特恵関税制度以外に、
FTA(FREE TRADE AGREEMENT)というものもありますが、それはまた別の機会に・・・
● 「プロのアドバイス」(関税がかかるもの、かからないもの)も御覧ください>>
● 「プロのアドバイス」(三国間貿易の場合の原産国の証明)も御覧ください>>
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